浦和レッズx鹿島アントラーズ(2008J1#06、スカチャンHV)

エンゲルスが選択した布陣は、
エジミウソン、高原の2TOP。腰痛の永井を、前節結果を出せなかった梅崎をサブに、報道の通りなんと闘莉王をトップ下に。胃腸炎の相馬を外し平川を左に、開いた右サイドには当然ながら山田さんを。ダブルボランチには鹿島の攻撃力を考えれば当然の啓太と細貝、バックラインは変わらず阿部、堀之内、堤。GK都築。

前半メモ

早々に闘莉王が痛んで永井がアップし焦るが、事なきを得る。
序盤から猛攻を仕掛ける鹿島にボールを支配され防戦一方。攻撃面でも闘莉王のパス出し適性の問題だが無理に縦に送っては絡め取られ、ラストをどうやって崩すのか?のアイディアに乏しかった。
平川のクロスから高原のヘッドがそれなりの形だったのが唯一の救いくらい。
決定機は双方乏しく、鹿島も浦和をびびらせたのは前半終了近くの田代の一発のみ。とは言え、攻めれない浦和、ボールの支配率や仕掛けの数は圧差。
浦和、ジリ貧か?
否!ここまでは計算どおり!

決定機前半(浦:鹿)

15分まで
 *#17、:*、:*0、*FK*、:*CK、:*#07、*#17、:*0#18。
30分まで
 :*CK*1、*#04、:*1*0#18、*#07#17、*、:*0、:*、:*、:*、:*#40、:*0CK*、:*、*#06。
45分まで
 :*、*#07、*#07#04、*3#17#07、:*FK**1、:*、*#17、*#14、:*1#18、:*8#09、*2#07#14、ロス1分、:*。

浦和前半仕掛け4,04,6=14、決定機0.5、決定機作成率0.036、ゴール0、決定率0.000。
鹿島前半仕掛け5,10,8=23、決定機1.1、決定機作成率0.049、ゴール0、決定率0.000。

後半メモ

浦和#07out#09in、高原に代えて永井で後半開始、高原を撒き餌にしたペースチェンジの始まりです。
後半途中ではなく開始から代えてきたのは、鹿島に対応のスイッチを入れさせない精神的な仕掛けでないかと思う。
フィニッシャータイプの高原が出て、仕掛けれる永井が入ってわずか5分で先制に成功する。闘莉王オフサイドくさかったがまあいいや、運はこちらに味方した。
仕掛けに仕掛ける鹿島だが、惜しいところまでは行っても実効性の高いシュートに結びつかない。そもそもシュートに結びつかない。
残り15分を切ってから小笠原の恐ろしいFKや、増田のミドルシュートなどが枠を襲うが、あくまで遠めからのもので都築の守備範囲。枠に飛ばしてくるシュート精度は賞賛に値するが、サッカーにおいては(特にJリーグぐらいの技術だと)シュート精度はあくまで結果論。鹿島が今季これまで見せていた追いすがるDFより一歩先んじてのGKとの準1対1や、前を大きく開けてのミドルシュートのシーンは作れない、浦和が作らせない。


対して浦和はカウンターが今ひとつ機能しない。エジミウソンも余り切れ味がよくなく、山田さんも安全を追ったのか、カウンターからバックパスをするシーンが目立った。安全もいいけど「行く時」は行かないと、一回くらいは「うお、こんな時に仕掛けてきやがった!」と相手が思うくらいの「キツイ仕掛け」を見せないと相手にプレッシャーを掛ける効果が薄い。


だが1:0で十分と思ったロスタイム、永井がバックパスを読んで奪い去り、裏街道でGKもかわしドフリー&無人ゴールマウス!1ポーズ入れて埼スタを総立ちにさせながら余裕のゴール。決定的な2点目を奪い、逃げ切った。

決定機後半(浦:鹿)

60分まで
 *0#04、*#22、:*FK、*10ゴール'50#09#04、:*、:*、:*1FK#40、:*、:*0FK#40、**、:*、*2#07#09、:*#19、:*0。
75分まで
 *5#17、:**#07、:*4#18*、:*1#09、:*0#10、:*CK、:**1#10、浦和#03out#21in、:*0FK、:*CK、:*1#03、:*、*0#17、:*。
90分まで
 :**、鹿島#10out#14in、:*、:*0、:*1FK#40、:*、*、:*1FK#40、:*#18、:*CK、:*3#14、:*CK、:*、鹿島#19out#13in、*FK#21、**2#04、浦和#17out#02in、*0#21、*#09、:*1#07、鹿島#07out#16in、ロス3分、:*、:**、:*、*10ゴール'92#09、:*0#13。

浦・後半仕掛け6,02,07=14、決定機2.9、決定機作成率0.207、ゴール2、決定率0.690。
鹿・後半仕掛け9,13,18=41、決定機1.4、決定機作成率0.034、ゴール0、決定率0.000。
浦・全体仕掛け28、決定機3.4、決定機作成率0.121、ゴール2、決定率0.588。
鹿・全体仕掛け64、決定機2.8、決定機作成率0.044、ゴール0、決定率0.000。

公式シュート数9:15、(枠内:)

浦和分数仕掛け 決定機 決定機作成率
リード時間43分111.90.173
タイ時間51分171.50.088
ビハインド時間00分------
鹿島分数仕掛け 決定機 決定機作成率
リード時間00分------
タイ時間51分241.10.046
ビハインド時間43分401.40.035

決定機率分析

前半は互いに決定機作成率は悪かった。攻撃が相手の守備を量ができなかったことを意味する。
後半も鹿島は決定機率(チャンスの質)は低かった、確かに強烈なシュートが何本も枠内へ飛んだが、シュート精度が高かったのであって、「シュートコースを開けて、落ち着いたボールを、整った体勢で打つ」ことが余り出来なかった。せっかくペナルティエリア内の地面にボールを送り込むことができても、ほぼ浦和のDFの方が速かったり混戦過ぎて打てなかったりだった。
都築の神がかり的なセーブはあるが、鹿島はそもそもコースを読める程度のシュートコースの空きと距離でしか「打ててなかった」。
枠内へは飛んだが、今日の鹿島の攻撃は「うまく行ってなかった」のだ。
浦和の決定機率(チャンスの質)は判定が味方したものと相手の痛恨のミスに付け込んでのものなので、決定機作成率ともに鹿島より高いが、攻撃の質が高かったとは今回は言いがたい。

まとめ

「前半0-0は鹿島のペース」と聞いていたが、鹿島オリヴェイラ監督は、うちが後半に変えてくることを見越して、前半のうちに勝負を決めに来たのではないかと思う。
対応力のある鹿島に対し前半を捨てた、ないしはテストにとどめたエンゲルスの作戦勝ち。守りきった浦和レッズのディフェンス勝ち。と言う試合だった。
支配率が37%対63%だろうが、枠内シュートが何本だろうが、ミスや判定がらみのチャンスだろうが、「質の高いシュートチャンスをより多く作った方が(決定機率の高かった方が)、勝ちに近いチーム」、この法則を乗り越える試合ではなかった。


もちろん
それに安住してよいと言う意味ではない。

その他

取り合えず、今のところの内容を見ると、売りだった守備のプレス力が落ち込んでいて、その代わりに攻撃の組み立てが良くなっているので、差し引きの結果として勝っている感じがする。
体力的にはキツい筈のところを精神力とパワーで切れ味を発揮して勝って来た所を、ある種のらりくらりと攻守共にかわしながらコンディションで切れ味を発揮して勝つ様になったのか。
「内容的には押されているのだが、一瞬の切れ味で勝つ」と言う文字にまとめてみると今までと全然変わらないのに、明らかに違っているエンゲルス政権をどう表現したものかうまくまとまらない。
ただこのプレス力ではACLでやばいのではないかと危惧する次第。


WEYS@サッカー用語辞典:裏街道
http://www.weys.net/dictionary/dictionary.cgi?target=xa3#00272
ボールを持ち、相手を正面にし、ボールを相手の背後のはじき、自分が逆を走り、相手を抜くフェイント。

「裏街道」ってのは浦和サポなら良くご存知、アレックスが得意の一人スルーパスです。
小倉が名付け親らしいですね。